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中部地方のインバウンド対策状況と課題
2018.11.16

中部地方は、標高が3,000メートルを超える日本最高峰の富士山、冬にはスキー客で賑わう白馬など、訪日外国人からも人気の高い観光地を多数有し注目を集めているエリアです。本記事では、9県(新潟、長野、山梨、石川、富山、福井、愛知、静岡、岐阜)からなる中部地方のインバウンド対策状況と課題について、オープンデータ、ビックデータを用いた観光動態調査結果から考察しています。

 

※本レポートにおける地方とは、北海道地方、東北地方、関東地方、中部地方、近畿地方、中国地方、四国地方、九州・沖縄地方の八地方区分を指す

概要 

中部地方全体のインバウンド対策状況まとめ

■2015年から2016年にかけて、滞在者数が1.2倍増加

■4月、7月に滞在者数が増加する

■中国人、タイ人の滞在割合が多い

■冬に消費額が増える

 

県別のインバウンド対策状況まとめ

中部地方の各県毎に、総消費額滞在人数の比較を行い、インバウンド対策における課題やポテンシャルを考察。

 

A.愛知県、静岡県

消費:多、滞在:多

インバウンド対策が相対的にうまくいっている

 

B.新潟県、岐阜県

消費:多、滞在:少

高い消費単価を維持しつつ滞在者数を増やす必要がある

 

C.長野県、石川県、富山県、福井県

消費:少、滞在:少

・Bをベンチマークに消費額を増やす施策を検討

・Dと連携し滞在者数増加の施策を検討

 

D.山梨県

消費:少、滞在:多

・高単価コンテンツの消費を促す施策を検討

・滞在日数を増やすルート設計を検討

 

中部地方の観光動態調査結果詳細は以下よりご覧ください。

 

目次

 

使用データについて

モバイル空間統計とは、ドコモの携帯電話ネットワークの仕組みを使用して作成される人口統計情報。携帯電話ネットワークは電話やメールなどをいつでもどこでもご利用いただけるように、各基地局のエリア毎に所在する携帯電話を周期的に把握しているサービス。いつ・どんな人が・どこから・どこへを7,600万(訪日外国人:750万)サンプルから分析可能。

※当レポートでは、主要17ヶ国(大韓民国、中華人民共和国、台湾、香港、ベトナム、タイ、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インド、英国、フランス、ドイツ、ロシア、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア)の訪日外国人の滞在データを使用

都道府県単位で、訪日外国人(地域別・国籍別)の部門別カード消費額や取引件数、取引単価をマップやグラフに表示して比較したり、消費額の推移をグラフに表示することで、自地域における訪日外国人の消費額や消費単価を把握可能。

FF-DATAとは「国際航空旅客動態調査(航空局)」「訪日外国人消費動向調査(観光庁)」等の調査結果を用いて、統計処理を行い、四半期、年間での訪日外国人の国内流動量を推計したデータ。訪日外国人の一連の移動や利用交通機関等を定量的に分析することにより、観光戦略を立案する際に対象市場や効果的な連携先等の検討に利用可能。

※FF-DATAは訪問した地名(例:富士山、ディズニーランド)を訪問順に記入する調査方法のため、前後で訪問した地の都道府県が同一になる場合がある。その際対象都道府県とそこに訪問する前に滞在していた都道府県が一致している可能性がある。

Twitterや一部インスタグラムのデータを元にナイトレイが国籍判定や位置情報解析を行ったデータ(2016年9月20日~2017年8月31日のデータを集計)。SNS解析データを基にして、訪日外国人のクチコミ、周遊動向、人気施設等の把握が可能。

 

これら全てのデータをワンストップで検索・取得・整理・分析可能統計データ分析ツールを使用し作成。

 

中部地方の観光動態調査レポートダウンロード

以下リンク先から本記事のレポートダウンロードが可能です。ご希望の方はお気軽にダウンロードください。

 

 

中部地方のインバウンド状況

中部地方全体における訪日外国人の滞在状況、消費状況、周遊状況を全国(その他の地方)と比較し考察しています。

 

中部地方の滞在状況

●年別滞在者数、割合

2015年から2016年にかけて、1.2倍増加している。

中部地方滞在者の割合は全体の1割を占め、地方で関東、近畿、九州に次ぎ4番目に多い。

 

●月別滞在者数

月別の滞在者数は4月が一番多く、次に7月に多く人が滞在していることがわかる。

 

●国籍別滞在者数、割合

日本全国よりも中国人、タイ人の割合が多くを占めている。

 

中部地方の消費状況

●地方別総消費金額、割合

関東地方が圧倒的割合を占める。

中部地方では約1,828億円消費され、関東、近畿、九州に次ぎ4番目に多い。

 

●月別総消費額数月別推移

冬に消費が伸びているも、夏は逆に消費が落ち込んでいることが伺える。

 

●国籍別総消費額、割合

国籍別でみると中華人民共和国(23%)、アメリカ合衆国(12%)で全国平均を上回っている。

 

中部地方の周遊状況

●入国港

中部空港、成田空港、羽田空港の利用客が多い。

中部地方に立地している空港は全体の59%を占めている。特に中部空港は49%を占めている。

 

●出国港

入国港と同じく中部空港、成田空港の利用客が多い。

 

●訪問前に滞在していた都道府県

関東圏、関西圏の主要都市と中部地方内の都道府県が上位を占めている。

中部地方各県のインバウンド状況

中部地方の各県における訪日外国人の滞在状況、消費状況、周遊状況から考察しています。 また文中では総消費額と滞在人数によるクロス分析を行っており、各県毎や国籍毎における課題の推察を行なっております。

 

一つのデータ整理方法として滞在状況と消費状況を掛け合わせた分析が可能です。 横軸に外国人滞在者数、縦軸に総消費額を対応させ、データを点でプロットします。

2軸のデータから各県別や各国籍別の訪日外国人がどの位置に属するかを視覚的に捉える事が可能です。 ここでは大きく以下A、B、C、Dの4つに分類しています。

Aの象限(消費 多、滞在 多)

相対的には既に集客に成功しているため、いかに旅行消費単価を上げるかが課題です。

Bの象限(消費 多、滞在 少)

消費総額は多いが、滞在人数が少ない都道府県がここに位置します。これは旅行消費単価が高いという事です。つまり、滞在人数の増加でさらなる消費総額の成長を見込めます。

Cの象限(消費 少、滞在 少)

周辺の成功地域を分析し、その地域と連携することで勝機を見出していく必要があります。例えばBの市区町村が隣接している場合、民泊等の低単価な宿泊施設を増やすことでBからの夜間における流入を促進する等が考えられます。

Dの象限(消費 少、滞在 多)

滞在が多いものの、消費金額が少ないのがここに属する都道府県の特徴です。観光スポットなどで消費を促すのが課題です。

 

各県の滞在状況

●年別滞在者数、割合

滞在者数は、すべての県で増加傾向にあることがわかる。

割合をみると、愛知県、静岡県、山梨県で7割近くを占めている。

 

●月別滞在者数

長野県、新潟県は有名なスキー場が多く存在するため、11月~3月にかけて滞在者数が増加していると推察される。

 

●国籍別滞在者数、割合

山梨県、静岡県で中国人の滞在者数が多いことが特徴的である。富士山を目的とした観光客が多いことが推察される。

 

各県の消費状況

●年別総消費額、割合

愛知県、新潟県、静岡県、岐阜県の4県で85%以上を占めている。

 

●月別消費額

愛知県、静岡県が類似した変化を見せている。

加えて、冬の岐阜県の上昇はとても大きく特徴的である。

 

●国籍別消費額、割合

県によって大きな違いが存在し、

新潟県のアメリカ人、長野県のタイ人、岐阜県の台湾人は他よりも高い割合を占めている。

 

中部地方の各県別比較

●総消費額×滞在人数

総消費額×滞在人数で分析してみると、中部地方各県のインバウンド対策の課題が見えてくる。

 

 

●各県の特徴と課題

消費:多 / 滞在:多 A 中部地方においては、インバウンド対策が相対的にうまくいっている。
消費:多 / 滞在:少 B 一人当たりの消費額が高い理由を明らかにし、そこを重点的に訪日外国人にアピールすることで、単価の高さを維持しながら滞在者数を増やす。
消費:少 / 滞在:少 C

■類似した地域でBに位置づけられる地域をベンチマークし、滞在者数が少ない中で消費額を増やす施策を検討する。

■周辺地域でDに位置づけられている地域とうまく連携して、Dの滞在者を集客する。

消費:少 / 滞在:多 D

消費額増加に向けて消費単価を上げるため

■より高単価なコンテンツの消費を促す施策

■滞在日数を増やすためのルート設計

等の施策を講じる必要がある。

 

中部地方を訪問した外国人の国籍別比較

●総消費額×滞在人数

国籍別で分析することで、インバウンド対策すべき優先順位が明らかになる。

 

 

●国籍別の特徴と課題

優先順位1消費:多 / 滞在:多 A 最優先に施策を打つべきである。
優先順位2消費:少 / 滞在:多 D 新たに人を呼び込むよりも、消費単価の増加の方が観光対策としてハードルが低いため、象限Bよりも優先順位が高い。
優先順位3消費:多 / 滞在:少 B すでに消費総額は高いため、象限Cと比べて優先的に施策を打つべきである。
優先順位4消費:少 / 滞在:少 C 消費総額と滞在者数どちらも増加させる施策を講じる必要があるため、この中で一番優先順位が低い。

 

 

 

各県の周遊状況

●入国港

最寄りの空港の利用者が多い。中部地方全体の割合と比べると、北陸地方は関西空港の割合がやや多い点から、関西からの流動が目立つ。東海地方は中部空港の利用が多い。

 

●出国港

入国港とほぼ変わらない。

 

●訪問前に滞在していた都道府県(中部地方外)

京都府から山梨県を訪問する旅行者の割合が多いことが特徴的である。

富山県、石川県、岐阜県については、他の中部地方の都道府県を経由して訪れる傾向がある。

 

●訪問前に滞在していた県(中部地方内)

ほとんどの県が隣接している県に移動している傾向にある。

愛知県、岐阜県、石川県の昇龍道、愛知県から山梨県に富士山観光のルートをたどる傾向がある。

 

中部地方人気スポットランキング

白川郷が1位に来ており、外国人人気が高いといわれる2位の富士山を上回っている。

3~5位には名古屋関連するスポットが来ており、基本的に名古屋で一定の時間を過ごす事が伺える。

 

中部地方の観光動態調査レポートダウンロード

inbound insightでは今後も皆様に有用な情報を積極的に発信してまいります。

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