千葉県は多くの訪日外国人の入国港となる成田空港が所在し、国内外の観光客にとって定番のアミューズメントであるディズニーリゾートなど人気の観光スポットを有する県です。
本記事では、そんな千葉県に訪れる訪日外国人の特徴について、オープンデータ、ビッグデータを用いた観光動態調査結果から考察していきます。
はじめに
観光動態調査の全体像
インバウンド対策は、滞在・周遊による人の動き、消費動向を定量的に押さえ、定性的に旅行行動を把握し実施する事が大切です。旅行行動は大きく「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」の3つに分けられ、それぞれのフェーズに適したデータを分析し現状把握を行う事で、精度の高い施策と効果検証につなげる事ができます。
概要
千葉県に訪れる訪日外国人の特徴まとめ
●旅マエ
■1~2カ月前に旅行の手配をする人の割合が高い
■旅行に店頭から申し込んだ割合がやや高い
■旅行目的としては、ビジネス目的が多く、東京都に似た傾向にあることが伺える
●旅ナカ
■昼間と夜間の滞在者数に大きな差があることが伺える
■滞在している外国人の国籍で昼間と夜間で大きな違いがあることが伺える
■消費においてファッション専門店や観光地の土産店、鉄道駅構内の店舗が全国平均を上回っている
■人気スポットの滞在に与える影響が極めて大きい
※本記事では「旅マエ」「旅ナカ」に焦点を絞り分析を行なっています
使用データについて
モバイル空間統計とは、ドコモの携帯電話ネットワークの仕組みを使用して作成される人口統計情報。携帯電話ネットワークは電話やメールなどをいつでもどこでもご利用いただけるように、各基地局のエリア毎に所在する携帯電話を周期的に把握しているサービス。いつ・どんな人が・どこから・どこへを7,600万(訪日外国人:750万)サンプルから分析可能。
※当レポートでは、主要17ヶ国(大韓民国、中華人民共和国、台湾、香港、ベトナム、タイ、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インド、英国、フランス、ドイツ、ロシア、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア)の訪日外国人の滞在データを使用
都道府県単位で、訪日外国人(地域別・国籍別)の部門別カード消費額や取引件数、取引単価をマップやグラフに表示して比較したり、消費額の推移をグラフに表示することで、自地域における訪日外国人の消費額や消費単価を把握可能。
訪日外国人旅行者の消費動向を明らかにし、外国人観光客誘致に関する施策の企画立案、評価等のための基礎資料を得ることを目的とした観光庁が実施している調査です。 本調査は、目的に応じて以下の3つの調査を四半期毎に実施しています。 A全国調査:日本全体での訪日外国人の客層や旅行内容、消費実態を明らかにする。 B1地域調査:訪問地(都道府県)毎に、訪日外国人の客層や旅行内容、消費実態を明らかにする。 B2クルーズ調査:船舶観光上陸許可を得た訪日外国人の客層や旅行内容、消費実態を明らかにする。
Twitterや一部インスタグラムのデータを元にナイトレイが国籍判定や位置情報解析を行ったデータ(2016年9月20日~2017年8月31日のデータを集計)。SNS解析データを基にして、訪日外国人のクチコミ、周遊動向、人気施設等の把握が可能。
これら全てのデータをワンストップで検索・取得・整理・分析可能なlocal insight(統計データ分析ツール)を使用し作成。
千葉県の訪日外国人旅マエ動向
旅行手配の時期
千葉県に訪れる訪日外国人が旅行手配をする時期は、1~2カ月前が最多の割合を示しているも、全国平均を下回る値を示している。
3カ月以上前(7ヶ月以上前も含む)の期間と1週間以内の期間で全国平均を上回っていることがうかがえる。
観光庁「訪日外国人消費動向調査」2017年
旅行申込方法
店頭で申し込んだ割合が全国平均よりもわずかに高く、ウェブサイトから申し込んだ割合がわずかに低くなっている。
旅行手配方法
個別手配の割合が高くなっており、個別旅行向けパッケージと団体ツアーの割合が全国平均をやや下回っている。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2017年
旅行目的
観光・レジャーが最大の割合を示す一方で、その値は全国平均よりも大きく下回っている。
代わりにビジネス目的や企業ミーティング・親族・知人訪問などが高くなっている。またこの傾向は東京都にも似た傾向が見られる。
東京都のインバウンド観光情報については「消費総額全国1位!東京都のインバウンド対策状況」を参照してください。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2017年
千葉県の訪日外国人旅ナカ動向
千葉県の滞在状況
●年別滞在者数推移
昼間の滞在者数が夜間の滞在者数と比較すると約3倍も多いことが伺える。
また、昼間夜間ともに経年における変化はほとんど見られない。
出典:RESAS「モバイル空間統計」※2015年1月から2017年11月までのデータを集計
●月別滞在者数推移
昼間と夜間を比較しても、月次の推移にほとんど違いは見られない。
出典:RESAS「モバイル空間統計」※2015年1月から2017年11月までのデータを集計
●訪日回数
1回目の割合が全国平均よりも上回っている。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2017年
●国籍別滞在者割合
中国、台湾、韓国、アメリカの4か国が昼夜ともに高い割合をしめしている。一方で昼夜での差は大きく、昼間では19.9%に過ぎないものの夜間に32.5%に上昇している事や、昼間の韓国が14.7%あるものの8.1%まで下落している事が特徴的である。
中国人のインバウンド観光情報については「インバウンド担当者必見!データから分かる訪日中国人の特徴」を参照してください。
台湾人のインバウンド観光情報については「リピート率が高い!データから分かる訪日台湾人の特徴」を参照してください。
韓国人のインバウンド観光情報については「若者に人気!データから分かる訪日韓国人の特徴」を参照してください。
アメリカ人のインバウンド観光情報については「買物には興味なし!?データから分かる訪日アメリカ人の特徴」を参照してください。
出典:RESAS「モバイル空間統計」※2016年12月から2017年11月までのデータを集計
千葉県で訪日外国人の滞在者数が多い市区町村トップ3
●1位:成田市
昼間の滞在者数が圧倒的に多いことが特徴的である。また1位に所在する理由として成田空港が挙げられる。
そして、この昼に到着する人数が昼間の訪問者数に直結していると考えられる。
出典:RESAS「モバイル空間統計」※2016年12月から2017年11月までのデータを集計
●2位:浦安市
浦安市には東京ディズニーリゾートがあり、それが訪日外国人の大際に影響していると考えれる。
出典:RESAS「モバイル空間統計」※2016年12月から2017年11月までのデータを集計
●3位:千葉市美浜区
幕張メッセが所在する千葉市美浜区が3位に位置している。
そして、2017年3月と4月に大きな増大を見せているが、この要因としては有名ミュージシャンなどのコンサートがあった為だと推察される。
出典:RESAS「モバイル空間統計」※2016年12月から2017年11月までのデータを集計
●千葉県の市区町村別滞在者数ランキング
成田市と浦安市が圧倒的な数値を示している。特に成田市が圧倒的である事が伺える。
また、5位に位置している富里市は成田空港の極めてそばにあり、かつ宿発施設が数多く所在する事から外国人の滞在者が夜間に多くなっていると推察される。
出典:RESAS「モバイル空間統計」※2016年12月から2017年11月までのデータを集計
●千葉県の人気施設ランキング
ナイトレイが独自に解析するSNSデータを元に作成した⼈気施設ランキングです。
「inbound insight SNS解析プラン」では人気施設ランキングだけでなく、訪日外国人の訪問スポット、クチコミ、周遊ルートを可視化します。
順位 | 施設名 | 市区町村 |
---|---|---|
1位 | 東京ディズニーランド | 浦安市 |
2位 | 東京ディズニーシー | 浦安市 |
3位 | 成田国際空港 | 成田市 |
4位 | 幕張メッセ | 千葉市 美浜区 |
5位 | 成田空港第二ターミナル | 成田市 |
6位 | 成田空港第一ターミナル | 成田市 |
7位 | 成田国際空港株式会社 | 成田市 |
8位 | 舞浜駅 | 浦安市 |
9位 | 松戸駅 | 松戸市 |
10位 | 成田国際空港第三ターミナル | 成田市 |
出典:inbound insight「SNS解析プラン」 集計対象期間:2018年11月03日 ~ 2018年12月02日
千葉県の消費状況
●千葉県の総消費額、都道府県ランキング
千葉県の総消費額は全国で11位である。また、その総消費額は年々微々であるが上昇傾向にある。
出典:RESAS「ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社のカードデータを再編加工」※ランキングは2016年10月から2017年9月までのデータを集計
購入店舗
ほぼすべての項目が全国平均を下回っている。
全国平均を上回っている項目としてはファッション専門店や観光地の土産店、鉄道駅構内の店舗とかなり限定される。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2017年
利用金融機関
ほとんどの利用金融機関が全国平均を上回るも、空港の両替所とATM項目の高さが特徴的である。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2017年
支払い・決済方法
支払い方法としては現金がかなりの値を示すも全国平均をごくわずかに下回っている。
逆に全国平均を上回るものとしてはクレジットカードや交通系ICカードを上げることが出来る。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2017年
世帯年収
全国籍平均とほとんど変わらないものの「1000万円以上2000万円未満」のみ全国籍平均をやや上回っている。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2017年
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