今回は、昨今、日本での外国人旅行消費額が大きい香港人に焦点を当てて、統計情報から見て取れる彼らの特徴をあぶり出していきます。
ちなみに、今回使用した統計データは観光庁の「訪日外国人消費動向調査」とJNTOの「訪日外客数」です。
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訪日香港人の特徴まとめ
各種統計データを参考に分析すると、訪日香港人には下記のような特徴が見えてきます。
■ リピーターの比率が圧倒的に高い。
■ 40代・50代の中年層の訪問者数が多い。
訪日香港人の基礎情報
訪日香港人数
訪日香港人の人数は年々増加しており、2017年には200万人を突破し、約223万人に到達しました。この人数は香港の全人口の約3割にも匹敵します。
また、2015年の訪日香港人の急増は、訪日中国人でも同様の変化が見られます。それ以降の変化は20%前後で安定的に増加しています。
出典:JNTO「訪日外客数」
月別訪日香港人数
年間を通して、人数の推移は安定しています。
月毎に見ていくと、下図のように季節ごとに増減はなく安定はしているも、長期休暇(7月:夏休み、12月:クリスマス休暇)は多少の人数の増加が見られます。また急増を見せた2017年の4月ですが、これはイースター休暇が4月にずれ込んだ為だと考えられます。これの反動により、2017年の3月は人数の減少が見られます。
出典:JNTO「訪日外客数」
訪問回数
訪問回数は、リピーターが全体の80%以上を占めています。また、6回以上の訪日香港人だけで全体の37%を占めており、全国籍平均と比較しても圧倒的にリピーターが多いのが伺えます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
年代・性別
男女比率を見てみると、全国籍平均とほとんど違いは見られません。
しかし、訪日する男女の世代には大きな違いがあります。具体的には、20代は全国籍平均と比較して少ないですが、40代、50代という中年層が多いことが伺えます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
訪日香港人の旅マエ動向
手配方法
手配方法は、個別手配が7割以上を占め、全国籍平均を上回り、個人旅行向けツアーに関しても全国籍平均を上回っています。香港人はリピーターの訪問が多いため、初めての訪日は団体ツアーを利用して訪れるが、2回目以降は個別手配や個人旅行向けツアーで自らの関心に合わせて訪れていることが推察されます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
情報収集方法
情報収集方法は、個人のブログ(36%)を使っている人が最も多いですが、日本政府観光局ホームぺージ(34%)と旅行専門誌(30%)も全国籍平均と比較して倍以上の割合を示しています。他にも旅行会社ホームページや宿泊予約サイト、テレビ番組なども全国籍平均を上回り、比較的多くの手段を用いて情報を収集していることが伺えます。
一方で自国の親族・知人や日本の在住親族・知人の割合が全国籍平均よりも低いのも特徴です。
日本政府観光局や旅行会社など、公に公開されている情報を全国籍平均よりも多用する傾向が見られる為、旅行会社のサイトや旅行専門誌などから積極的に香港人にアプローチすることが有効的だと考えられます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
訪日香港人の旅ナカ動向
入国地点
入国地点は、関西国際空港(44%)が1位で、他にも那覇空港、新千歳空港が全国籍平均を上回っています。一方で、成田国際空港、東京国際空港(羽田国際空港)の関東圏の空港利用者の割合は低くなっています。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
滞在日数
4~6日間・7~13日の滞在が多く、その2つで全体の95%を占めています。
特に7~13日に関しては全国籍平均を大きく上回っており、全体の約40%を占めています。一方で3日以内や14日~20日の滞在は全国籍平均を下回っています。
これらの事から訪日香港人は長期的な休暇を利用して訪日していることが伺えます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
都道府県別訪問率
大阪、東京、千葉という主要空港がある3都府県への訪問率は高いものの全国籍平均を大きく下回り、観光の定番とも言える京都に関しても訪問率は低いことが特徴的です。一方で、沖縄県は全国籍平均をやや上回るものの訪問率が高い県は基本的に見当たりません。これらの事から滞在日数は長いものの、1回の旅行で訪問する都道府県の数は少ないことが推察されます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
日本でしたこと
日本食を食べる(96%)、ショッピング(90%)、繁華街(76.2%)の街歩きがトップ3で全国籍平均と比べても大きな差はないようです。そして、わずかながらですが、日本の歴史・伝統の割合が全国籍平均よりも高く関心があることが伺えます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
訪日香港人の消費動向
消費金額
訪日香港人の総消費金額は年々上昇しており、特に2014年から2015年にかけて爆発的な上昇を見せました。これは2015年の春節に元高・円安を背景に行われた中国の爆買いの為です。一方で、訪日香港人の1人当たり消費額は2015年に上記の爆買いによって大きく上昇するもその後は年々、減少してきております。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
消費金額の内訳
2015年から2016年にかけて買物代が約9,000円減少しており、この数値の変化がそのまま一人当たりの消費額が減少に影響していると考えられます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
買い物の品目別購入比率と購入単価
購入率をみてみると、化粧品・香水や医薬品・健康グッズといった消耗品に加え、電気製品が全国籍平均を大きく上回っています。一方でこれらの商品は購入単価では全国籍平均と比較しても低い値を示しています。これらの事から訪日香港人は安くて質の高い消耗品を購入していることが推察されます。また、この事が上記の1人当たり消費額の減少やリピーターの増加を招いていると考えられます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
買い物をした場所
空港の免税店や家電量販店は全国籍平均よりも低く、ドラッグストアやスーパーマーケットなどの日本人が日常的に使用する店舗での割合が高い値を示しています。この事から、これらの場所で化粧品・香水や医薬品・健康グッズといった消耗品を購入していることが推察されます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
免税手続きの実施状況
免税実施率は全国籍平均を上回るも、免税物品購入額は全国籍平均を下回っています。これは多くの人が免税手続きを行うも、1回当たりの免税物品購入額が少ない人が一定数いる為、平均金額自体が下がっていることが伺えます。これは、日本で購入する品目が消耗品であり、その購入金額自体があまり高くならない為、免税品購入額が全国籍平均と比較して少なくなっていると推察されます。
【参考】
日本で消耗品の免税には、①1店舗で同一日に購入した物品の合計金額が5,000円以上である事、②消耗品専用袋(開封すると開封したことが分かるシールで封印されたもの)で梱包され、国外へ持ち出す前に開封しない事、③消耗品だけ、もしくは一般物品だけで5,000円以上を満たす事、という3つの条件を満たす必要があります。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的だけではなく、業務目的も含む
次回日本でしたいこと
全体として香港人と全国籍平均の間では大きな違いはありません。
しかし、リピーターの割合が高い香港人だからこそ、前回の経験による影響は大きいでしょう。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
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