今回は直近4年間で2倍以上に増加し、年々日本のインバウンド市場に与える影響が大きくなってきている訪日フィリピン人に焦点を当てて、統計情報から見て取れる彼らの特徴をあぶり出していきます。
ちなみに、今回使用した統計データは観光庁の「訪日外国人消費動向調査」とJNTOの「訪日外客数」です。
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訪日フィリピン人の特徴まとめ
各種統計データを参考に分析すると、訪日フィリピン人には以下のような特徴が見えてきます。
■直近4年間で2倍以上に増加。
■春と冬の2回訪日人数のピークを迎える。
■半分以上が初めての訪日。
■女性の割合が全体の6割近くも占める。
■ファッションに高い関心。
■買い物は比較的安価なものを求める。
訪日フィリピン人の基礎情報
訪日フィリピン人数
訪日フィリピン人は急激に増加しており、2014年には18万人ほどでしたが、2017年にはその2倍を優に超える42万人となっています。
年々増加率は減少しているものの、それでも2017年に22%を記録しており、依然として訪日フィリピン人数には強い成長が見られます。
出典:JNTO「訪日外客数」
月別訪日フィリピン人数
訪日フィリピン人数を月別に見てみると、春と冬の2回ピークが見られます。
3~5月にかけての春のピークはフィリピンの一般的な学校における夏休みの時期と重なっており、子どもの休みに合わせて訪日するフィリピン人の姿が読み取れます。
また、国民の9割がキリスト教徒のフィリピンでは、クリスマス休暇を取ることが一般的であるため、このクリスマス休暇を利用して訪日する人が12月のピークを作り出していると考えられます。
出典:JNTO「訪日外客数」
訪問回数
全体的に全国籍平均とよく似た比率になっていますが、初めて訪日する人の割合は全国籍平均よりも10%ほど高いことが分かります。
この4年間で訪日人数が2倍以上になっていることからも分かるように、フィリピン人にとって日本というのはまだまだ新しい旅行先なのかもしれません。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
年代・性別
男女比率を見てみると女性の割合の高さが際立ちます。
特に女性世代別に見てみると、30代以上の全ての年代において全国籍平均を上回っており、フィリピン人女性から日本に対する高い関心が伺えます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
訪日フィリピン人の旅マエ動向
手配方法
個別手配で訪日を行う人が80%を超えています。
これは、全国籍平均では65%と比べても高い割合になっています。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
情報収集方法
「自国の親族・知人」や「日本在住の親族・知人」という項目において、全国籍平均に比べ、高い割合を記録しています。
これは多くの人が留学や出稼ぎを通して、日本と繋がりを持っている(フィリピンは国籍別在留外国人において、中国、韓国、ベトナムに次いで4位)フィリピン人ならではの情報リソースであると推察されます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
訪日フィリピン人の旅ナカ動向
入国地点
成田国際空港と関西国際空港が他の空港と大きく差を付け、高い利用率を記録しています。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
滞在日数
90%以上の人が4日間から13日間の滞在を選択しています。
また一方で、全国籍平均では10.3%を占める3日以内の短期滞在が訪日フィリピン人では2.2%と割合が大変小さくなっており「休暇に合わせて来ているので2週間以上の滞在は難しいが、その中でもできる限りゆっくりと日本観光をしたい」という訪日フィリピン人の姿が浮かんで来ます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
都道府県別訪問率
東京都、千葉県の2都県で全国籍平均と大きく差をつけ高い割合を記録しています。
全国籍平均に比べ、入国経路として千葉県にある成田国際空港を利用する人の割合が高いことが、このような結果に繋がっていると考えられます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
日本でしたこと
「テーマパーク」や「四季の体感」という項目で全国籍平均と大きく差をつけて高い割合を記録しています。
フィリピン人にとって、ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンなど、日本の大型テーマパーク施設は大きな魅力のようです。
また、常夏の環境で生活するフィリピン人にとって日本で味わう四季の体感というのは新鮮で魅力的なものであるようです。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
訪日フィリピン人の消費動向
消費金額
訪日フィリピン人の総消費額はこの4年間で2倍以上に大きく増加しています。
これは訪日フィリピン人数の大幅な増加に合わせて起こったものだと考えられます。
また1人あたり消費額のグラフを見てみると、2015年に大幅な上昇が見られるものの基本的には12万円前後で推移していることが分かります。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
消費金額の内訳
訪日フィリピン人の消費金額内訳に着目してみると、経年でそれほど変化が見られずショッピングと宿泊料金が全体の内、大きな割合を占めています。
また全国籍平均との比較を見てみると、大きな差は見られないことが分かります。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
買い物の品目別購入比率と購入単価
買い物の品目別購入比率を見てみると、ファッション用品や電化製品などの項目で全国籍平均を上回っています。
しかし単価に着目してみると、これらの項目も含めた多くの項目で全国籍平均を下回っていることから、訪日フィリピン人はファッション用品や電化製品などの買い物に関心はあるものの、総じて比較的安価な商品を求めていると推察されます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
買い物をした場所
全国籍平均と比較的似た分布が読み取れますが、中でもやはりファッション専門店やアウトレットモール、またディスカウントストアの利用率は高く、「買い物の品目別購入比率と購入単価」で述べたような訪日フィリピン人のファッションへの関心や、安価なものを求める姿勢を裏付けるものとなっています。
また、ドラッグストアの利用率は全国籍平均を大きく下回っており、訪日フィリピン人が日本での医薬品の購入にはそれほど関心を持たないことが分かります。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
免税手続きの実施状況
免税手続き実施率、免税物品購入額ともに全国籍平均を下回っており、訪日フィリピン人は免税が必要な物品をそれほど購入していないことが分かります。
しかし一方で、免税手続き実施状況に着目してみると「服・カバン」などのファッション用品や、「電気製品」「カメラ・ビデオ」などの項目では全国籍平均と変わらない実施率を記録しており、訪日フィリピン人がファッション用品、電化製品の買い物を楽しんでる様子が読み取れます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的だけではなく、業務目的も含む
次回日本でしたいこと
次回日本でしたいことをみてみると、ほとんどの項目で全国籍平均を上回っており、訪日旅行を終えてもなお、日本に高い興味・関心を持つ訪日フィリピン人の様子が読み取れます。
しかし、一方で温泉入浴の項目では全国籍平均を大きく下回っており、湯船に浸かる習慣がなく基本シャワーのフィリピン人の文化がここに反映されていると考えられます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
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