今回は、訪日外国人観光客の中でも、比較的、日本での外国人旅行消費額が大きいシンガポール人に焦点を当てて、統計情報から見て取れる彼らの特徴を導き出していきます。
ちなみに、今回使用した統計データは観光庁の「訪日外国人消費動向調査」とJNTOの「訪日外客数」です。
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訪日シンガポール人の特徴まとめ
各種統計データを参考に分析すると、訪日シンガポール人には次のような特徴が見えてきます。
■ 休暇時期の11月から12月に訪日するシンガポール人が多い
■ 訪日シンガポール人の多くが個人手配で長期滞在し、その6割がリピーター客である
■ 入国の多くは関東地方からで、訪問場所も東日本エリアが好まれる
■ 「日本でしかできない」「シンガポールではできない」体験や経験に魅了を感じる傾向
■ 買物場所の人気は百貨店・デパートで、免税物品購入額の高さが特徴
訪日シンガポール人の基礎情報
訪日シンガポール人数
訪日シンガポール人の数は年々増加しているも、その増加率に関しては2015年以降、減少傾向にあります。
出典:JNTO「訪日外客数」
月別訪日シンガポール人数
月毎に見ていくと、11月から12月に訪日するシンガポール人の数が特に多いです。11月中旬から12月31日は、シンガポールの小学校・中学校・高等学校の長期休暇にあたる時期です。この休暇に合わせて家族旅行に行くシンガポール人が多く、その選択肢に日本が含まれていると推察できます。
出典:JNTO「訪日外客数」
訪問回数
全国籍平均と似た結果となっています。6割がリピーター客であることから、シンガポール人にとって日本は魅力的な観光地の1つと言えます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
年代・性別
訪日シンガポール人の多くは20代から30代の若い男女です。男女比率は、全国籍平均と比較すると男性の割合が多いことがわかります。年代ごとに見ていくと、20代・30代・60代男性の訪問率が全国籍平均よりも高く、一方で女性に関しては、20歳未満から30代の訪日人数が全国籍平均を大きく下回っています。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
訪日シンガポール人の旅マエ動向
手配方法
個別手配が83.8%と圧倒的割合を占め、全国籍平均を上回っています。リピート客の多いシンガポール人は自分なりに旅行を手配する傾向があると推察できます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
情報収集方法
TripAdviserなどの口コミサイトや宿泊施設のホームページ、自国の友人・知人の情報を使用する人が、全国籍平均より多く見受けられます。一方で個人のブログやSNSの使用割合は全国籍平均を大きく下回っています。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
訪日シンガポール人の旅ナカ動向
入国地点
成田空港と羽田空港が圧倒的割合を占めており、全国籍平均と比較しても両者の割合の高さがわかります。これは、成田空港と羽田空港の国際線の本数の多さが理由だと考えられます。一方で、関西国際空港の利用率は全国籍平均を大きく下回っていることも特徴の1つです。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
滞在日数
全国籍平均と比較して、「7-13日間」の滞在が圧倒的に多いのが特徴です。訪日シンガポール人の約75%が7日以上の長期滞在をしています。この要因として、シンガポールは有給休暇取得率が非常に高く、長期にわたる休暇を取りやすい傾向が挙げられます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
都道府県別訪問率
羽田空港・成田空港が所在する東京都と千葉県への滞在率は全国籍平均を大きく上回っています。また、両県に近い神奈川県や、シンガポールにはない冬を感じられる北海道への訪問率が全国籍平均と比べて高いのも特徴です。一方で、全国籍平均で見ても人気の高い大阪府・京都府を含めた西日本地方への訪問率が概して低い値となっています。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
日本でしたこと
「日本食を食べること」が98.2%と高い値を示しています。他にも「日本酒を飲むこと」「日本の歴史・伝統文化体験」などの日本でしか出来ない体験・経験は、訪日シンガポール人に人気が高いです。「ショッピング」や「繁華街の街歩き」「自然・景勝地観光」といった全国籍平均において人気の高いものは、訪日シンガポール人にとっても同じく魅力的のようです。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
訪日シンガポール人の消費動向
消費金額
訪日シンガポール人の総消費額は、2014年から2015年にかけて著しく増加したものの、それ以降は微増と鈍化傾向にあります。訪日シンガポールの1人当たりの消費額に関しても、2015年を除いてほとんど変化がありません。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
消費金額の内訳
訪日シンガポール人の消費金額は全国籍平均と比較すると宿泊料金の占める割合が高いことが特徴です。また、経年の消費金額の内訳はほぼ誤差レベルでしか変化していない点もシンガポール人の特徴だと伺えます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
買い物の品目別購入比率と購入単価
購入率をみてみると、菓子類や食料品、衣服系統では全国籍平均に近い高い値が見られます。一方、「化粧品・香水」や「書籍・絵葉書・CD・DVD」「電気製品」は全国籍平均と比べて非常に低い値を示しています。特に、「化粧品・香水」と「電気製品」の値は、購入単価においても全国籍平均より低い結果となりました。この2つの低い値の理由としては、多様な人種が混在するシンガポールには日本以上に多様な化粧品・香水ブランドが販売されている点、両国の間で電圧規格が異なる点が推察できます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
買い物をした場所
百貨店・デパートの割合が圧倒的に高いことがわかります。また、ファッション専門店やアウトレットモール、100円ショップが全国籍平均と比較して、高い人気を誇っています。一方で、コンビニエンスストアやドラッグストアを利用する人は、全国籍平均より少ないことが伺えます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
免税手続きの実施状況
免税手続き実施率は全国籍平均を下回っているものの、免税物品購入額は全国籍平均を上回っています。これは、一度の訪問で複数品目を購入でき、かつ、免税店が多く揃っている百貨店やデパート、アウトレットモールでの買物を好むシンガポール人の特徴と推察できます。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的だけではなく、業務目的も含む
次回日本でしたいこと
基本的には全国籍平均と近い値を示しています。特に「四季の体感」や「旅館に宿泊」「スキー・スノーボード」といったシンガポールではできない体験が全国籍平均より高い値を示しています。一方で、母国でも楽しめる「ショッピング」は全国籍平均を大きく下回っています。
出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
注:観光レジャー目的のみであり、業務目的は含んでいない
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