大阪観光局は、「大阪都市魅力創造戦略」における重点取組みの一つであり、「大阪の観光戦略」に掲げる「2020年外国人旅行者1,300万人達成」に向け、戦略的に観光集客を促進する組織です。
平成28年度より、大阪観光局を「大阪版DMO」とし、大阪観光局が策定した観光戦略の下、戦略的なマーケティング、情報ネットワークや観光案内機能のワンストップ化、効果的なプロモーションや地域と連携したMICE誘致などの事業に取り組んでいます。
訪日客1,111万人達成
2017年には大阪府を訪れる訪日外国人数は1,111万人となり、5年前の5倍の水準にまで増加しました。また、消費額も1.1兆円を突破し、大阪府を訪れる訪日外国人は大阪府内の事業者のみならず、周辺エリアの事業者にとっても決して無視できない存在になっています。
2017年来阪外国人数:1,111万人
2017年来阪外国人消費額:1兆1,731億円
大阪はもともと訪日外国人のゴールデンルートになってはいるものの、この結果を得るために、大阪観光局や大阪府がどのような取り組みを行ったか、そしてこれから何を行おうとしているか、開示資料等を基に確認していきます。
大阪観光局のインバウンド対策の取組み例
【現状把握】SNSなどのデータに基づいた訪日外国人の行動分析
「24時間おもてなし都市」実現に向けて、現状の大阪の「夜の観光」を認識するために、GPSやSNSなどの観光ビッグデータを活用し、夜の訪日外国人の行動特性を明らかにしました。調査の結果、夜に訪日外国人の動きが止まることが明らかとなり、訪日外国人が夜間も安心して楽しめる「ナイトカルチャー」店舗の認証制度をはじめ、夜の観光資源の掘り起こしと、訪日外国人へのアピールを実施しています。また、大阪府も「ナイトカルチャー発掘・創出事業補助金」を創設し、上限500万円の補助金も提供しています。
【現状把握】仮説思考型の市場別のニーズ調査
中国人に対しては「BBQなど家族が楽しめる」点をアピールすべき、台湾人には「かわいい」「女性に好まれる」点をアピールすべき、などという仮説を立て、ターゲット国籍ごとにテーマを定めています。その上で、旅行者や事業者へのアンケートやヒアリングも組み合わせることで、具体的なアクションプランに落とし込むという取り組みをしています。
【プロモーション】OSAKAのブランディング「食・スポーツ・ウェルネス」
OSAKAブランドを浸透させる上でテーマとして、「食・スポーツ・ウェルネス」を定め、それぞれで下記のような施策を検討・実施しています。
①「食」に関しては、「食の都・大阪」ブランドを確立するために、メディアマーケティングやイベントの実施、外国語メニューの設置普及などに取り組んでいます。
既にミシュランの星を獲得した店舗数ランキングで世界の都市の中で上位に入るなど、海外メディアから大阪の食に対する評価は高いものの、その地位に奢らず、より認知度を向上させることに注力しています
②「スポーツ」に関しては、「大阪・関西スポーツツーリズム&MICE推進協議会」を設立し、スポーツツーリズムの活性化やスポーツ関連MICE誘致に動いています。2019年にはラグビーワールドカップ、2020年には東京オリンピック・パラリンピックが実施される予定であり、今後、スポーツ×訪日外国人の組み合わせは伸びる余地が十分にあると判断し、イベントの開催やスポーツ関連の国際会議の誘致などを通じて、スポーツツーリズムを広める方針です。
③「ウェルネス」に関しては、健康意識の高い訪日外国人を集めるプラットフォームサイト「OSAKA WELLNESS TOURISM」を公開し、健康や医療のコンテンツを提供し、医療目的での訪日(訪阪)(ウェルネスツーリズム)を増加させようとしています。
【受入環境】訪日外国人に優しい「OSAKA」
受入環境整備にも力を入れており、多額の投資をしています。例えば、訪日外国人の不満として上位に上がるインターネットアクセスの不便さを改善すべく、無料Wi-Fi(「Osaka Free Wi-Fi」)を提供し、府内で5,800を超える箇所で利用可能としています。
また、英・韓・中などの5言語に対応したガイドブックを作成し、国内外で46万部以上を配布しています。更に、多言語コールセンター(「Osaka Call Center」)も準備し、訪日外国人向けに観光コンシェルジュサービスを提供しています。
一方で、実際に訪日外国人と対面する事業者向けにも、外国人対応マニュアル/災害対応マニュアルの配布を配布して、受け入れ体制の整備を行っています。
【受入環境整備例】
・OSAKA Free Wi-Fi
・トラベルサービスセンター大阪、難波
・24時間多言語コールセンター
今後
すでに効果を見せ始めている大阪観光局のインバウンド対策ですが、「国際観光都市・大阪」を目指し、更に取り組みを強化していく方針です。一例としては下記を挙げています。
・クレジットカードデータを使った分析
・大阪・梅田駅周辺の多言語サイン整備
今後も増え続けることが予想される来阪訪日外国人。大阪観光局が、どのような取り組みを実施して、目標値である「2020年1,300万人」を達成するのか、注目です。
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今後もinbound insightでは、日本各地のインバウンド対策の事例を紹介して参りますので、乞うご期待ください。
また、inbound insightでは観光ビッグデータを使った「現状把握」から各種ソリューションを活用した「施策検討・立案」までサポートすることが可能です。インバウンド関連で何かしらの課題をお持ちでしたら、是非ともinbound insightまでお問い合わせください。
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